絵入版本『伊勢物語』(元禄九年、大和田安兵衛版)の第五段〈関守〉図です。一般に知られれいるのは、右図のような嵯峨本の図様ですが、これは護衛の武士たちが眠りこけているところをうかがう業平を背後から描いているところに特徴があります。
当段の歌では「人しれぬわが通ひ路の関守はよひよひごとにうちも寝ななむ」と、見張りの番人に眠ってくれることを期待しているのに、絵ではすっかり眠ってしまっている姿形を描くのは、本文との矛盾といえるでしょう。
絵入版本『伊勢物語』(元禄九年、大和田安兵衛版)の第五段〈関守〉図です。一般に知られれいるのは、右図のような嵯峨本の図様ですが、これは護衛の武士たちが眠りこけているところをうかがう業平を背後から描いているところに特徴があります。
当段の歌では「人しれぬわが通ひ路の関守はよひよひごとにうちも寝ななむ」と、見張りの番人に眠ってくれることを期待しているのに、絵ではすっかり眠ってしまっている姿形を描くのは、本文との矛盾といえるでしょう。