kuge’s diary

源氏物語を研究している久下からのお知らせです。

久下研究室のHP→http://www.ne.jp/asahi/kuge/h/

私のお宝紹介(1)

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 お正月も近くなってきましたが、みなさんも『小倉百人一首』などの絵札の画像で平安王朝人の衣装などに興味を持たれることでしょう。ここに紹介するのは私のお宝のひとつで「斎宮女御徽子」図の掛軸1幅です。

 既に「絵画の中の〈泣く〉しぐさ考」―佐竹本二十六歌仙絵と国宝・源氏物語絵巻を中心に―」(考えるシリーズ②『物語絵・歌仙絵を考える―変容の軌跡』武蔵野書院、2011年)のカバーの袖に軸装を掲載し、また考えるシリーズ⑤『王朝の歌人たちを考える―交遊の空間』でも表紙カバーにそのカットを用いました。

 本来、佐竹本の図像も「琴の音に峰の松風かよふらしいづれの緒よりしらべそめけむ」に対応するなら、当然私の架蔵の掛軸の図像になるはずであったのに拘らず、違う図像であるところに疑問があり、その謎を私の論文で解明しているのですが、なかなか一般の読者の方は関心をもっていただけないようです。

 それはともかく絵をお楽しみください。作者は土佐光芳です。土佐派は江戸時代、源氏絵でその優雅な力作を数多く残しています。