kuge’s diary

源氏物語を研究している久下からのお知らせです。

久下研究室のHP→http://www.ne.jp/asahi/kuge/h/

新論文

実践女子大学文芸資料研究所の「年報」43号(2024年3月発行)に「大和文華館蔵『自描絵入源氏物語』「浮舟帖」の挿絵について」を書きました。 またnoteには卒論のミカタⅢテーマ別論文紹介(1)平安時代の結婚制度について をアップしました。 https://note.…

新note

noteに久しぶりに卒論のミカタⅡ(5)「-雑感書評-中野幸一著『深掘り!紫式部と源氏物語』(勉誠社、2023年刊@定価2,400円)を読んで」を書きました。 https://note.com/kugegenji/n/n2a761f860165

新論文

『源氏物語』成立論の第3弾「玉鬘十帖の成立と位相」(中野幸一編『平安文学の饗宴』勉誠出版)がようやく陽の目を見た。近年ハイブリッド論文を書くことを目指しているが、その成果でもある。 ハイブリッド論文とは、エビデンスを推理小説的に配置して論文…

新論文

『源氏物語』成立論の第3弾「玉鬘十帖の成立と位相」(中野幸一編『平安文学の饗宴』勉誠出版)がようやく陽の目を見た。近年ハイブリッド論文を書くことを目指しているが、その成果でもある。 ハイブリッド論文とは、エビデンスを推理小説的に配置して論文…

最後の著書

最後の著書を企画していますが、新典社や武蔵野書院ではなく、第三の出版社にお願いしたいと考えています。 総題は「久下裕利著作論集」とし、三冊セット箱入りにしたいと思っています。 第1冊タイトル「紫式部と『源氏物語』」 第2冊タイトル「孝標女と『夜…

近況

新年になって体調を崩し、1月15日(金)から西新宿の東京医科大学病院に、心不全により入院。1月24日(日)にいちおう退院しましたが、2月15日(月)に再び入院予定となっています。 老人になると、このようなことがありますので、昭和女子大学の「学苑」が、11月…

関根賞

上野英子氏(実践女子大学教授)の著書『源氏物語三条西家本の世界ー室町時代享受史の一様相』(武蔵野書院)と高橋由記氏(流通経済大学准教授)の著書『平安文学の人物と史的世界ー随筆・私家集・物語ー』(武蔵野書院)の二冊が、第二次「関根賞」(第15…

新着著書

コロナ禍の中で研究が萎縮してしまうのではないかと危惧していたが、noteで俎上に載せた久保朝孝氏の『紫式部日記論』(武蔵野書院)の他にここ数ヶ月の間に以下の如く数冊の新刊が贈られてきたので、出版発表活動に支障はないようで安心している。もっとも…

noteを始めました

〔卒論の味方〕というタイトルで中古文学に関する研究を、活字の論文では、かた苦しくなってしまうのを、できる限り平易に書いたものを公開することにしました。 それは以下のようなタイトルになります。 卒論の味方Ⅰ ~紫式部と『紫式部日記』研究の最前線…

知の遺産シリーズ

〈目次〉 文学史上の『紫式部日記』『紫式部集』―…横井 孝 紫式部の生涯 ― 『紫式部日記』『紫式部集』との関わりにおいて ―…上原 作和 『紫式部日記』『紫式部集』の成立―古本系集に増補された「日記哥」から考える ―…笹川 博司 現行『紫式部日記』の形態―…

私のお宝紹介(11)

ここに紹介するのは、『源氏物語』板本の54冊揃の袖珍本です。 絵入りなので、その絵を桐壺巻、空蝉巻、夕顔巻から、よく知られている場面を各1図ずつ掲載しました。 その隣には有名な慶安三年跋承応三年版(絵・山本春正)の同場面を合わせて掲出しておき…

平成30年度の論文業績について

平成30年度の論文は上掲した『知の遺産 狭衣物語の新世界』の二本に続き、ようやく三月に集中して発行にこぎつけた昭和女子大学『学苑』のものがあります。1つは11月号の「資料紹介特集号」において「昭和女子大学図書館蔵『狭衣物語』(巻一・巻二)ー解題…

知の遺産シリーズ

〈目次〉 文学史上の狭衣物語―“衒学”の美学―…後藤 康文 狭衣物語』の成立とその作者…久下 裕利 『狭衣物語』の異文と改変…今井 久代 『狭衣物語』と『源氏物語』―その時代相を中心として―…倉田 実 『狭衣物語』と六条齋院物語歌合…井上 新子 狭衣と源氏宮―そ…

私のお宝紹介(10)

絵入版本『伊勢物語』(元禄九年、大和田安兵衛版)の第五段〈関守〉図です。一般に知られれいるのは、右図のような嵯峨本の図様ですが、これは護衛の武士たちが眠りこけているところをうかがう業平を背後から描いているところに特徴があります。 当段の歌で…

私のお宝紹介(9)

上の掛け軸は『紫式部石山寺参籠図』と言われる作品で、『石山寺縁起絵巻』などで知られる『源氏物語』の着想を石山寺での参籠で得て、須磨・明石巻から物語を書き始めたという中世の伝承を根拠とする作例です。 この掛け軸は実を言いますと、拙著『源氏物語…

近況

昭和女子大学紀要「学苑」8月号(平成30年8月)に拙論「『源氏物語』成立の真相・序―紫式部、具平親王家初出仕説の波紋―」を親交のある先生方に贈ったところ、その礼状のいくつかに続稿を期待するとの旨が書かれてあった。それが真意かどうか計りかねるが、…

私のお宝紹介(8)狭衣物語の古筆切

上掲、左は『平安文学の新研究―物語絵と古筆切を考える』(新典社、平成18〈2006〉年)の「『狭衣物語』の古筆切について―飛鳥井雅章筆本との関連―」執筆のため、その参考資料として口絵にカラーで掲載し、のちに単著である『王朝物語文学の研究』(武蔵野書…

私のお宝紹介(7)歌仙絵抄

当該『歌仙絵抄』は、拙著『物語絵・歌仙絵を読む』(武蔵野書院)に既に『三十六歌仙歌合画帖』とともに公開してあります。あらためてここに〈平兼盛〉図と〈紀貫之〉図を掲出しておきますのは、別に架蔵する歌仙絵〈紀貫之〉図と比較してもらうためです。 …

私のお宝紹介(6)

『知の遺産 宇治十帖の新世界』掲載の拙論について

実践女子大学の横井孝教授とともに編集した『知の遺産 宇治十帖の新世界』が予定通り3月に上梓できました。執筆された先生方にはまずもって感謝の意を表したいと存じます。 それにしても久下が担当した「浮舟設定と入水前後」及び「宇治十帖と国宝『源氏物…

私のお宝紹介(5)

拙著『物語絵・歌仙絵を読む―附『歌仙絵抄』『三十六歌仙歌合画帖』』(武蔵野書院)のカバーに使った絵は奈良絵切『伊勢物語』〈河内越〉図で〈かいま見〉の構図として最もよく知られている。 『伊勢物語』第23段〈筒井筒〉の後半に位置する「風吹けば沖つ…

私のお宝紹介(4)

拙著『源氏物語の記憶―時代との交差』(武蔵野書院)のカバーの絵は「紫式部石山寺参籠図」で『源氏物語』執筆時の構図である。 この図様としては考えるシリーズ①『王朝女流日記を考える―追憶の風景』(武蔵野書院)のカバーで使った石山寺蔵「紫式部図」(…

私のお宝紹介(3)

葵巻で祭の日、源氏は紫の君と見物に出るにあたって、髪削ぎの儀を行った。成女式であろう。この源氏絵の場面は碁盤上に紫の君を立たせていて、現在でも皇族の方が行う儀式である。 作例に承応三年版『絵入源氏物語』や伝宗達屏風絵などがある。詳しくは久下…

私のお宝紹介(2)

ここに紹介するのも前回(1)と同じく《斎宮女御徽子》図ですが、図柄は全く異なります。几帳の陰に横になっているのが女御ですが、その頭部がわずかに見えているだけです。この図柄で最もよく知られているのは、斎宮歴史博物館蔵の住吉具慶筆《斎宮女御》…

私のお宝紹介(1)

お正月も近くなってきましたが、みなさんも『小倉百人一首』などの絵札の画像で平安王朝人の衣装などに興味を持たれることでしょう。ここに紹介するのは私のお宝のひとつで「斎宮女御徽子」図の掛軸1幅です。 既に「絵画の中の〈泣く〉しぐさ考」―佐竹本二…