〈目次〉
文学史上の狭衣物語―“衒学”の美学―…後藤 康文
狭衣物語』の成立とその作者…久下 裕利
『狭衣物語』の異文と改変…今井 久代
『狭衣物語』と『源氏物語』―その時代相を中心として―…倉田 実
『狭衣物語』と六条齋院物語歌合…井上 新子
狭衣と源氏宮―その形代となる宮の姫君まで…萩野 敦子
狭衣と女二宮―その即位まで…倉田 実
狭衣と飛鳥井君――その娘の行方まで…野村 倫子
『狭衣物語』の人脈と空間―二人の姫を巡る人脈と堀川邸西の対という空間―…井上 眞弓
『狭衣物語』の超常現象―天稚御子降下と天照御神託宣―…鈴木 泰恵
『狭衣物語』の引歌・歌ことば―作中歌の形成と受容をめぐって―…後藤 康文
『狭衣物語』の古筆切…久下 裕利
『狭衣物語』の注釈書…川崎 佐知子
『狭衣物語』―研究の現在と展望 ―付、二〇〇〇年以降の研究文献目録>…有馬 義貴
《所感》
北海道大学教授 後藤康文氏と大妻女子大学教授 倉田実氏との共編による〈知の遺産〉シリーズの6冊目である『狭衣物語の新世界』が、この3月(奥付では2月25日)に刊行されました。
私が担当執筆したのは「『狭衣物語』の成立とその作者」及び「『狭衣物語』の古筆切」です。多少他の論文より短めですが、編者にとってはいろいろなトラブルに対応しつつ、調整を経て最終的に論文を完成していますので、今回はこういう結果になったということです。
まま本シリーズのコンセプトである研究史の整理のし方に温度差がありますが、いちおう新しい『狭衣物語』の世界を示し得たのではないかと思います。